月山社会保険労務士事務所
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給与計算手法解説 控除計算編
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現在、給与計算はほとんどの方が給与計算ソフトを使用して行っており、完全な手計算で行っている方は少数派といえます。
便利な給与計算ソフトの登場によって、仕組みをよく理解しなくてもほとんどの給与計算ができるようになった結果、給与計算の手法について学ぶ機会が減ってしまったように思われます。
完全な手計算で給与計算を行っていた時代は、不便ではありますが実務を通して仕組みについて深く理解できる時代でもありました。

​給与計算ソフトを使用する場合であっても、どのような仕組みで給与計算が行われているかを理解したうえで使用することによって、計算者が主導権をもってソフトを使いこなすことができ、ソフトが対応できない例外にも対処することができます。
今回は給与計算において躓きやすい控除計算について、未経験の方でも理解できるように努めながら解説したいと思います。
「控除」とは
控除とは差し引くことを意味します。
パートタイマーのように時間に応じて給与が加算されていくものとは異なり、定められた額から原因に応じて減額されていく計算を控除計算といいます。
「月給」とは
ひと月の給与額が定められているものを月給といい、1時間当たりの給与額が定められているものを時給といいますが、1時間の定義がはっきりしているのに対し、ひと月が何を意味しているのかは曖昧です。
暦のひと月は28日から31日まで日数の違いがあり、同じ日数の月であっても曜日の配分が同じとは限りません。祝日の数も違います。
このようひと月といっても様々な種類がある中で、それでも毎月同じ金額を支払うと決められた給与のことを月給といいます。
月給には主に二種類あります。
必ず固定で支払われる月給と、欠勤や遅刻早退に応じて控除したものを支払う月給があり、後者の仕組みを「日給月給制」といいます。

控除計算は日給月給制の労働者の月給計算において多く用いられる方法です。
この日給月給制の控除計算が給与計算において行われる控除計算の基本となるものです。
まず日給月給制の仕組みについて考えていきましょう。

勤労者の多くは日給月給制
働いた分だけ給料が発生する仕組みではなく、働かなかった分だけ給料を減らすという仕組みです。
毎月どれだけ働くのかが定まっていないパートタイマーの労働者とは異なり、どれだけ働くのかが定まっているフルタイムの労働者だからこそできる仕組みといえるでしょう。
しかし定まっているといっても、1か月に何日、何時間働くことになるかは毎月必ず同じとは限りませんし、労働する日数や時間が異なっても月給が同じ金額ということは、月ごとに日給や時給が異なることを意味しています。
このことは日給月給制の控除計算においてとても重要な部分です。
何のために控除をするのか?
従業員が欠勤や遅刻早退によって定められた労働時間よりも少ない時間しか労働していなかった場合、その分を控除することは、労働を全うした他の従業員との平等な待遇を維持するために必要なことです。
したがって労働時間に応じた合理的な控除計算をしなければなりません。控除する分が多すぎても、少なすぎても不平等になってしまいます。
控除方法に具体的な定めはない
ところがこの合理的な控除計算について法令による具体的な定めはありません。
何をもって平等なのかという統一的な価値観はなく、企業によって事情も異なることから、具体的な控除方法は法令に反しない範囲内で企業が独自に定めることができます。
多くの企業では、月給から日給額、時給額に相当する部分を算出し、欠勤や遅刻早退時間に応じて控除額を求める方法が一般的に行われていますが、どのようにして日給・時給額を算出するかによってその後の控除額も異なるため、この算出方法について正しい知識を持つことが大切です。

日給月給制の給与計算における日給額、時給額の算出方法

月給額から日給・時給額を算出する最も合理的な方法は「所定労働日数」や「所定労働時間」で除すことです。労働契約によってその月に働くことが義務付けられている日数とその合計時間で除すことによって当月の日給・時給額を算出することができます。
所定労働日数・所定労働時間は毎月の暦の日数や祝日などの有無、最終的にはシフト表によって変化する数値のため、この算出方法では日給・時給額は毎月変動するものであるということがわかります。
よって1日欠勤した場合の欠勤控除額が毎月同じ額になるとは限りません。
週に5日間平日に勤務する従業員を例にすると、1か月の所定労働日数は月によって変化し、一般的におよそ19~21日になります。この場合、1日分の欠勤控除額は月給額の1/19~1/21まで変化し、金額の変動幅は10%ほどになります。
同じ1日の欠勤について、所定労働日数が多い月と少ない月で控除額が異なることが不平等であると感じる人もいるかもしれません。
この点がこの算出方法による欠点であり、所定労働日数で除すうえでの宿命ともいえます。
また、この方法で日給・時給額を算出する場合、毎月の所定労働日数を正確に把握していなければなりません。従業員ごとに出勤日程が異なる場合は、所定労働日数は従業員ごとに異なる数値となります。
月ごとの数値、従業員ごとの数値を把握できてはじめてこの方法で算出を行うことができると言えるでしょう。
​
固定値を用いて日給・時給額を算出する方法

​毎月同じ数値を用いて日給・時給額を算出する場合、月ごと従業員ごとの所定労働日数・所定労働時間を用意する作業から解放されます。
週に5日間勤務する従業員だけが在籍する職場を例にすると、1か月の所定労働日数が19~21日で変動する場合、これを20日と固定し、月給額を20で除すことで日給額を算出するという方法です。
利点として計算が容易であるということに加え、1日分の欠勤控除額がどの月でも同じ金額であるというわかりやすさがあります。
ただしこの方法は後述する例において、一転して不平等かつ難解な作業が必要になることがあります。

月によって所定労働日数が19~21日で変動する職場において。計算上これを20日と固定していた場合にどのようなことが起きるかを考えてみましょう。

従業員が所定労働日数19日の月において19日欠勤した場合。
19日中19日全てを欠勤しているわけですから直感で全額が控除されると思いつきますが、所定労働日数を20日で固定しているため1日の欠勤控除額は月給の1/20となり、欠勤日数×欠勤控除額で計算をすると19/20を控除することになります。
すると、ひと月の全てを欠勤しているのにもかかわらず計算上は1/20の月給が・・・即ち1日の日給に相当する金額が発生することになってしまいます。
直感で思いついたことと、計算結果のどちらを優先すべきでしょうか。
この例の場合では、さすがに全てを欠勤しているのに月給が発生することはおかしい、という考えが優先すると思います。
それではほかの例はどうでしょうか。

所定労働日数19日の月において1日出勤18日欠勤した場合
1日分に相当する日給を支給すべきだと直感で思う一方で、計算上の欠勤控除額は月給の18/20となり、2/20・・・2日分の日給が発生することになります。
これもさすがにおかしいと考えて、1日出勤分として月給の1/20の給与を支給すべきでしょうか。
しかしこの考え方を続けると、19日間全て出勤した場合でも月給額が19/20に止まってしまいます。
どこかで出勤数から欠勤数を計算根拠にする方法へと切り替える必要があります。

所定労働日数19日の月において9日出勤10日欠勤した場合
出勤日数から月給を求めると9/20を支給することになります。言い換えれば11/20…すなわち11日分が月給から欠勤控除されていることになるため、従業員の立場で考えてみると、「9日しか出勤していないのは事実だが、なぜ11日分も欠勤控除されるのか?」という不満が生まれるのも当然と言えるでしょう。
それでは、出勤日数から月給を求めるルールをここで止め、これ以降は欠勤日数から月給を求める手法に切り替えたとすると。
所定労働日数19日の月において10日出勤9日欠勤した場合
9日分を控除することになる月給額の計算結果は11/20。11日分の日給に相当します。
10日出勤に対して11日分の日給額が支給される事について当該従業員が不満を言うことはないと思いますが、「9日出勤10日欠勤の従業員」はどう感じるでしょうか。
たった1日の出勤数の違いが2日相当分の日給額の違いを生んでいます。
このような切り替えのタイミングにおいて不公平さが具体化するのです。
この不公平さを回避するために、追加で計算式を用意し、その切り替え時の変動を均すこともできますが、計算を簡略化するために所定労働日数を固定値にしたことでかえって複雑な計算が必要になるならば本末転倒です。

この問題は所定労働日数が21日だった場合も同様です。実際の所定労働日数と固定値で定めた所定労働日数が一致しないことによって生じるため、固定値を使用している限りこの問題からは逃れられません。
ただし、今回の例で示した、従業員が1日2日のみ出勤し大半を欠勤するといった事はそれほど発生することはなく、稀に発生してもその都度即興で対応し、今まで問題になったことはないという給与計算担当者の方も多いと思います。
今回はあえて極端な例を出すことで、2つの算出方法の利点と欠点を考察してみました。

最も不平等を生まない方法は消去法的に、毎月実際の所定労働日数や所定労働時間を用いて日給・時給額を算出することといえます。
ただし全ての従業員のシフトと勤務時間を完全に把握し、月ごとに一人一人の所定労働日数、所定労働時間を求めなければならないため、これは給与計算の領域ではなく、勤怠管理業務の領域の話になります。
適切な数値を得ることができないのならば、固定値を使用するという選択肢も非常に現実的であると思います。


端数処理について
所定労働日数、所定労働時間から日給・時給を算出する場合、割算を行うことから小数点以下の端数が発生することがあります。
この端数を繰り上げれば日給・時給額が増加することになり、切り捨てれば減少することになります。
これを端数処理といいますが、金額が増減することが従業員にとって有利になるか不利になるかを理解したうえで行うことが求められます。
控除計算においては従業員の日給・時給額は少なく算出する方が残る金額が増えることを意味し、従業員にとって有利となります。
反対に、支給すべきものを加算する計算においては日給・時給額は多い方が従業員にとって有利となります。
よって給与計算において従業員に有利な数値で統一したい場合は、同じ日給・時給額でも控除計算用と支給計算用の2種類を用意するとよいでしょう。ただしここまで緻密に給与計算処理を行うことができる給与計算ソフトは(自身で特別に設定した場合を除き)ほとんど存在せず、多くの給与計算業務の現場においても誰も気にすることなく計算している場合がほとんどです。あまり難しく考える必要はありません。
給与の控除計算において最も大切なことは緻密さよりも、法令に違反せず、定められたルールを平等に適用することです。
控除計算の対象となるもの
基本給・役職手当
従業員に支給される給与の中から控除計算を行うものは基本給やそれに類する労働の対価として支給されるものが対象となります。
例えば役職手当という名称であっても基本給と同じ趣旨であれば控除計算の対象とすることができます。もちろん会社の規定で役職手当は欠勤日数に関わらず全額支給すると定めれば控除計算の対象にはなりません。
住宅費・家族手当
住宅費や家族手当は定められた条件によって支給される手当として労働の直接の対価として支給されるものではないため、控除計算をするべきではないとされています。
皆勤手当
皆勤手当は欠勤と遅刻早退が全くない事…即ち皆勤のときのみに支給されるものであり、控除計算の対象となる給与と趣旨が異なります。ただし時間外労働などの計算のための時給には算入されることに留意してください。
固定残業代
予定される残業に対して予め固定された額を支払う趣旨ものを固定残業代といいますが、欠勤した日に残業が発生することはあり得ないという理由から、欠勤日数に応じて減額する控除計算の対象となることがあります。
通勤費
月額で支給される通勤費を控除計算の対象とすることはできますが、実際にそれを行うかどうかは会社の規定によって異なります。控除計算を全く行わない会社もあれば、厳格に控除計算を行う会社もあります。


今回は給与計算実務における控除計算について基本となる部分を解説しました。



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